大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)2898 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人林久二の上告趣意第一点は、憲法三七条二項及び刑訴三九三条違反を主張

するけれども、記録を調べてみると、原審は所論証人Aの尋問申請があつたのにこ

れを却下して取調をしなかつたのではなく、被告人からも弁護人からも右証人の申

請自体なされた形跡がないこと明らかであり、他方右憲法の条項は、裁判所が必要

と認めない者までも証人として職権で喚問し被告人に直接審問の機会を与えなけれ

ばならないという趣旨のものではない(昭和二二年(れ)第二五三号、同二三年七

月一四日、大法廷判決、集二巻八号八五六頁参照)のであるから、右違憲の主張は

理由がなく、又控訴審における事実の取調は第一審判決の当否を判断するに必要な

範囲に限られ、その必要の有無は刑訴三九三条一項但書の場合を除き裁判所の裁量

に委ねられており(昭和二六年(あ)第一四一八号、同年九月六日第一小法廷判決、

集五巻一〇号一九〇一頁参照)本件は右但書の場合に当らないのであるから、原審

が前記Aを証人として職権で取調をしなかつたからといつて刑訴三九三条に違反す

るものではない。同第二点は被告人と別に森林窃盗罪で起訴された所論B及びCの

両名とは森林窃盗の共犯であると前提して被告人と右両名との起訴並びに処罰上差

別が設けられたのは憲法一四条一項に違反する旨主張するけれども、原審は被告人

が右両名と所論のような共犯関係にあつたとは認定していないのであるから右違憲

の主張はその前提を欠くものであり、同第三点は事実誤認、量刑不当の主張であり、

弁護人鈴木義男、同河野太郎の上告趣意第一点は事実誤認、同第二点は量刑不当の

各主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べて

も同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

- 1 -

昭和三三年四月一八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!